2017年12月22日金曜日

Welcome to Sarah method Advanced! part0 Introduction

この記事はSpeedcubing Advent Calendar2017の22日目として執筆された記事群の1つです。
前日は@speedsolve氏の「荒神新名法について」、翌日は@cubingmush氏の「たぶん初学者用解法の話をします」です。

Sarah method Advanced解説記事一覧

part0 Introduction(当記事)
part1 SH3回まで
part2 SH4回
part3 Suck cases & L5C







preface



こんにちは、4年のenotsです。
Speedcubingを始めてからこれまでずっと眺め読むだけだったAdvent calenderですが、今年初めて自分が書くことができ、とても感慨深いものがあります。
これからもよろしくお願いします。


日本大会も終わりましたね。自分は結構いろんな競技に参加し、カットオフなりPBなりありましたがSkewbでは一応平均PBを残すことができました。とはいえ、NR順位は下がっており悔しい気持ちのほうが大きいです。


さて。Skewbがメイン種目の1つである私ですが、日本ではSq1と違ってSkewbメインの競技者が少ないな、と感じます。人気がないのもありますが、日本語での情報もあまりまとまってない、自ら提供することが少ないのも要因の一つでしょう。特にSarah methodではIntermediateまでの情報はCube Voyageなど動画解説も存在しますが、Advancedは存在しませんでした。
それを表すように、国内でメイン解法がSarah method Advancedである競技者はほぼ私一人といえる状況です。{1}
Intermediateまででも指の速さにより十分な記録を残すことができる、という点も少なからず関係しているのかもしれません。

そんなとき、半年前に勢いでTwitterに書き殴ったのがこのまとめになります。
スキューブを5秒で完成させる方法 - Togetter

今回はこれをリメイクし、Sarah Advancedを挑戦する競技者の助けになってほしい、またIntermediateまでの競技者にも+αとして役立ってほしい、という趣旨でSarah method Advancedの解説記事を書きたいと思います。


また、Sarah methodの本家本元であるサイトの解説pdfをリンクしておきます。
今回の記事は各LLに対して手順表をつけているわけではないので、実際にSarah Advancedに取り組む際は、こちらの手順表を御覧ください。
https://sarah.cubing.net/skewb/skewb-guide.pdf




Sarah method Advancedとは?


Sarah methodはカナダのSarah氏が開発したとされるSkewb解法で、完全一面を揃えた後はSledge Hammer、及びその逆手順のHedge Slammerを中心にLast Layerを完成させる解法です。

Sarah methodにはBeginner、Intermediate、Advancedの3種類があり、ステップの区切りで分類されます。AdvancedはSledge Hammer(以下S)またはHedge Slammer(以下H)を最大4回用いることで、ほぼすべてのLLを行うことができるというものです。決まった手順しか用いず手数が長くなりがちな代わり、高tpsでカバーしやすいのが特長と言えます。

SkewbのLL自体は134パターン存在しますが、Sarah method AdvancedではそれらをL5Cまで含めて30パターンほどに分類することができます。
さらに、Sarah AdvancedではU面センターや揃ったセンター、完全一面と対面の色が入ったセンターさえ認識できれば、若干開始面やSHの判断は必要ですがLL手順を体系的に網羅・実行できるという強みがあります。

少分割競技においてはいずれLL手順を網羅する必要に迫られますが、各手順毎の関連性はかなり薄くなりがちです。手順や開始面を体系的に覚えられることで、実際の導入のハードルも大きく下がることでしょう。百以上もあるLLを体系的に網羅できるのは、Sarah methodにおけるtpsと並ぶとても大きなメリットだと考えています。

デメリットとしては、上記の通り手数が長くなりがちな点の他、SH4回では完成できないLLが存在する(Suck casesと呼ばれる)点です。 SH5回では必ず完成できますが、20手では手数が嵩みすぎです。sub5~4.5から先など、上を目指すなら何らかの対策が必要になるでしょう。

私が2017年12月現在使用している解法は、一部Intermediate止まりなものや発展解法のNSを導入している点もありますが、概ねSarah method Advancedに基づいています。
今回の記事では、134パターンの手順表は別サイトの紹介にとどめ、体系的にLL手順を網羅する上での各パターン解説を中心に行いたいと思います。



前提技術


Sarah AdvancedはSarah Intermediateの発展的解法ですので、先にSarah Intermediateの習得が必要です。
特に完全二面でSH2回のパターン(Category 2 cases)は1つの状態につき2つ手順がありましたが、両方とも使えるようになってください。
残りのセンターの様子によって、使い分ける必要が生じてくるからです。

これはSarah Intermediateでのテクニックとしても知られていると思いますが、Category 2で完全二面を作る際、対面色なセンターを避けるように開始面を定めることでH-perm、Z-permを回避することができます。
これを意識できると上級手順も覚えやすくなるので、ぜひ習得してください。

指使いに関しては、こちらの動画で習得するとよいでしょう。Sarah methodに取り組むうえではこれらで十分です。
https://youtu.be/bSm1aEIK_TY
https://youtu.be/j-C-n2je6zo

また、H-permはほとんど避けられますが、Z-permは登場する機会が割と多いのでこのタイミングで習得するべきです。
たとえAdvancedに手を出さないとしても、タイムの安定度が全然違ってきます。




パターン分け

以下の図は、全て黄色をU面とします。


corner

コーナーの状態です。Skewbでは構造的にLLでのcorner Permutationは存在しません。
OrientationについてはPi、Peanuts、Skipの全部で3通りあります。

Pi case


Peanuts case


Skip case




ですので、コーナーは以上の3通りになります。


center

センターには向きが存在しませんので、Permutationのみを考えます。
Skipを含めて、以下の11パターンが存在します。
ただし、U permは黄色センターが関係するかどうかでHorizontal,Verticalとそれぞれ異なるパターンに分類されます。


Center Skipped


O perm


U perm(Horizontal)

U perm(Vertical)


Z perm


Z conjugates

Triple Sledge

 

H perm


Swirl perm


Wat perm


X perm


備考


これらは、
・黄色センターの位置
・揃っているセンターの個数及び位置
・揃ったコーナーと対面色の関係にあるセンターの個数及び位置
で分類することができます。

ただし、PiかつU面センターがU面以外にあるパターンでは、U面センターの位置によって手順が変化し異なるパターンに分類されます。
(Sarah Intermediateだと完全二面のcategory1とcategory3に相当)
これらをPi_Horizontal/Pi_Verticalと呼び分けることにします。

例.(Z conjugates)










 Z conjugates+Pi_Vertical

以上2つがPi_Vertical。
完全二面を作るのにSH3回必要。










 Z conjugates+Pi_Horizontal

こちらがPi_Horizontal。
図からはSledge1回で完全二面が完成しU permになる。


なお、Horizontal/Verticalで呼び分けるのは私独自の用語ですので他では通じないと思われます。お気をつけください。




*1:2017年12月現在、日本大会2017で私が個人的に確認した結果です。いらっしゃったらぜひご一報下さい。

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